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コミュニケーション

コミュニケーション力の向上

   言葉の遅れがみられたり、コミュニケーションが苦手だったりするお子さんは、やりとりができないことによってトラブルになることや、自分の気持ちをうまく表現できず、ストレスを感じていることがあります。遅れや苦手さの程度はお子さんによって様々ですが、言葉やサイン、絵カード等お子さんが可能な方法を用いて「他者とやりとりができるようになる」ことでストレスを減らせるかもしれません。このような「やりとり」のためには“言葉で伝える”ことも、相手の言葉を“聞いて理解すること”も欠かせません。これから下記に示したような、さまざまなプログラムを通して、当相談室では、伝えることと理解すること、両方の力を育みながら、やりとりしていくことを目指します。

言葉を理解する

   園や学校などで、指示通りに動けなかったり、言葉は話すものの他者とのやりとりになりにくかったりするお子さんの場合、先生やお友達に「ちがうよ!」と注意される機会も増えます。しかし、本人は『わざと』やっているのではなく、言葉がけの内容を理解していない可能性や、相手の言葉に応じるということがわかっていない可能性があります。お子さんが言われたことを理解していくためには、短く具体的な言葉をかけたり、絵やジェスチャーを使ったりしながら、言われた直後に実際に行動できるように促します。

  
   たとえば、「大きいリンゴを取って、みどりのカゴに入れて」という指示を理解し、適切に行う課題をすることがあります。「大きい」や「みどりの」等の言葉に注目できず、指示の内容を理解できていない場合には、「大きい」のサインを(とる直前に)示したり、「みどりの」を強調して伝えたりすることによって、言葉の要点をつかみやすくします。また、相手の言葉に応じることがわかっていない場合には、「リンゴを取って」と言葉かけをした直後に、お子さんの手を持ってさりげなくリンゴを取れるようにして確実に行動できるように練習します。このようなトレーニングによって言葉を聞いて理解し、他者の働きかけに応じることを目指していきます。

質問に答える

 質問に答えるためには、質問を聞き分けて、合った答えを選択する必要があります。「今日は遠足でどこに行ったの?」と聞かれても、“場所”を答えずに、食べたお弁当のことを答えたり、「遠足行った」とズレた回答をしてしまったりすると、会話がなかなか成立しません。質問の応答の仕方がわからずに困ってしまうお子さんには、短く区切って重要な部分を聞き取りやすくしながら、適切に答えられるよう促します。
 指導では、男の子が公園でボールを蹴っている絵カードを見せて、「誰?」と聞き、(「公園」、「ボール蹴ってる」ではなく)「男の子」と答えられるよう、練習することがあります。「誰?」と聞かれて「男の子」と答えられるようになったら、いろいろなカードに対して「誰?」と聞かれて「人物」を答えられるか確認します。「誰?」以外にも、「どこ?」「何してる?」といった1つ1つの質問の応答を練習し、できるようになってきたら、同じカードに対して「誰?」や「何してる?」等をランダムに質問しても聞き分けて答えられるように練習します。

 このほかにも、「何をするもの?(用途)」「どんな様子?(副詞)」等さまざまな質問に答えられるよう練習していきます。徐々に、日常の質問に答えることや、自分が経験したことを報告することにつなげていきます

 

説明する

 コミュニケーションをひろげるためには、相手が知らないことを上手に説明することも必要になります。どのように説明したらよいかわからず、困ってしまうお子さんには、説明の仕方をこちらが手本として伝えまねしてもらったり、ものの特徴が目立つところを指したりする等、ヒントを出しながら、説明できる力を育みます。
 「ママのお名前は?」と聞くと答えることができても、「ママってどんな人?」と聞かれると、答えに詰まってしまうお子さんがいます。この場合、人物を説明する時は、容姿(髪の長さ、背の高さ等)や性格(優しい、怒りっぽい等)、好きなものや嫌いなものについて話すと良いことを教えます。まずは特徴的な容姿で描き分けられた絵カードを見せ、「どんな人?」と聞き、「背が高くて、めがねをかけている」等ポイントを使って説明ができるように練習し、徐々に性格や好物についても説明できるよう練習していきます。人物の説明ができるようになってきたら、授業の内容、好きなアニメのあらすじ等、身近なさまざまなものの説明も練習します。このような練習によって、「ものの説明をする」ことの枠組みを理解してもらい、自分で説明できるようになることを目指していきます。

代替コミュニケーション

 

発語の難しいお子さんの場合は、言葉に代わる代替コミュニケーションについて検討します。マカトンサイン※やジェスチャー等で伝えられるように練習をします。

 

マカトンサイン

マカトン法で使用されるサインです。マカトン法は、イギリスで考案されたコミュニケーション・言語指導法であり、理解、表出の向上が促されると言われています。マカトンサインは、日常生活の中でお子さんが理解しやすいサインになるように簡略化されています。また、お子さんが表現するのに細かい指の動きを必要としないように工夫されています。マカトン法は、お子さんの発達レベルと、生活状況に応じてステージが構成されており、段階的にお子さんに合わせて教えていけることも特徴の1つです。



◎ほかにも・・・話を聞くときは相手の顔を見る、相手の話をさえぎらず最後まで聞く等会話のルールに関することや、相手の表情や気持ちの理解等、様々な課題を取り上げ、練習していきます。

 コミュニケーションは、さまざまな場面で必要になるスキルなので、プログラムに限定せず、その前後にも気を配ってお子さんに関わっています。

「トイレに行きたい時にもじもじする」というお子さんに対して(きっとトイレに行きたいのね)と要望をくんでトイレに連れて行ってあげるということは日常の中であると思います。ただこのお子さんは、言葉を使わずに、「もじもじする」ことによって、本人の要望をかなえることができています。当相談室の中ではトイレに行きたい時に、もじもじすることではなく、「トイレに行ってきてもいいですか」など、適切な言葉で表現することを教えることで、生活の中で、相手に伝わるコミュニケーション力を高めていきます。

 
詳しくは「療育方針」をご参照ください。
NPO法人STEPこども発達相談室
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