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課題分析の枠組み

新しい行動(スキル)を身につけさせるときには・・・

 私たちは、普段の生活の中で、1つ1つの動作を意識せずに行っていることがたくさんあります。
 例えば「コップの水を飲む」、例えば「くつ下をはく」、例えば「歩く」、
どれも多くの人が“えーっとコップの水を飲むには・・・”などと考える必要なく行動することができます。
 ところが、生まれたての赤ちゃんの時には誰しも出来ていなかったことばかりです。私たちは成長の過程において、大人に教えられたり、自分で周りを見て真似したりすることで、いろいろな行動を身につけていきます。そして、一度身につけた行動は、意識しないでもできるようになっていきます。
 お子さんのレパートリーにない行動、お子さんにとって難しすぎる行動を身につけさせるために、STEPこども発達相談室では、「課題分析」を行って、指導にあたっています。

「課題分析」ってなに??

さて、そのように普段は何気なく行っている行動を、改めて取り上げて考えるとしてみましょう。
例えば、先ほども例に挙げた「コップから水を飲む」という行動。
コップから水を飲むためには、具体的にどんな細かい動きが必要になるでしょうか?
 
STEPでのスタッフ研修において、必ずと言っていいほど最初に出される問題です。
そして面白いほど、研修の成果がでる問題でもあります。
初めてこの問題に取り組む人の多くが、右の図のように、4つ程度の動きをあげます。
 
ところが、実際に動きながら考えてみると、より細かい動きに分けることができます。回数を重ねていくと、この動きの数が(細かく分けた分だけ)増えていきます。
左の図よりも、さらにもっと細かくすることもできます。
 
「コップから水を飲む」という単純そうに見える行動の中でも、私たちは意識しないで細かい動作をいくつも連動させて行っているのです。
 
このように、「複雑な行動や、いくつもの行動がつながって一連の行動になっているものを個々の構成要素に分けること」を応用行動分析では「課題分析」と言います。

「課題分析」をもっとしてみる

上記の「コップから水を飲む」というような単純な行動だけではなく、もっと複雑な行動についても「課題分析」を行うことができます。


例えば、「ボードゲームなど細かいパーツがあるおもちゃのお片づけ」を考えてみましょう。

まず、たくさんの細かいパーツが床に散らかっていると想定します。

それらがすっきり1つの箱に片付くまで、どんな構成要素があるのか、整理しましょう。


 

左の図のように、「お片づけ」と一言で言っても無意識にやっているような行動全てを分解していくと、たくさんの行動で構成されていることが分かります。

 

 

片づけにはこれだけの行動があるわけですから、「片づけが出来ない」という困りごとはそれぞれの子どもによってつまずくポイントは異なるのです。

 そのためSTEPでは、このように行動を細分化しリスト化した上で実際に子どもに片づけさせ、何番目の行動でつまずいているのかを確認してからその子に応じた指導方法を考えていきます。 

 

 例えば、⑧をせずに片づけを進めてしまい、片づけ終了後にパーツが落ちている場合、「パーツを小袋に入れた後に必ず確認しようね。」と声かけをすることが出来ますね。


 また、手先の不器用さによって⑦で手間取っている場合はさらに課題分析をすることもあります(⑦-1左手で小袋の口を広げたまま持つ、⑦-2右手でパーツを2-3個つまむ、⑦-3つまんだパーツを袋の中に入れる…)。もし、⑦-2のように細かい物をつまむことが苦手と確認ができたら、片づけの練習に加えて指先を動かすトレーニングを実施することもあります。


 さらには上記のように訓練によって片づけを上達させる方針がある一方、片づけやすい環境づくりに着目することもあります。⑦-1から-3を観察した結果、“片手で袋を持ちながら” 片手でパーツをつまむ という同時に2つの行動をすることの難しさがあった場合、袋ではなく小箱を用意し、その小箱を床に置いてパーツを拾うよう指導することで片づけを達成させることもあります。


 ところで、上記の①~⑪の課題分析について、「あれ?私の片づけ方とは違うな。」とか、「大きいパーツを箱にしまってから小さいパーツをかき集めているうちの子は間違ってたんだ!」なんて思った方もいたかもしれません。しかし、それは決して間違いではありません。なぜなら、やりやすい順番は人によって異なるからです。

 あくまでも、「片づけが最後まで出来るようになること」が目的です。なので、支援者と子どものやり方が違ったとしても、本人の馴染みのある順番を活かしてあげる、もしくは、やりやすい順番を見つけてあげるという視点も重要ですね。

 上記の「おもちゃの片づけ」は課題分析の一例になりますが、この他にも、STEPではお子さんに身につけさせたいさまざまな行動に対して課題分析を行います。

 課題分析で1つの行動を細かく観察することで、その子がどこまで出来ていてどこでつまずいているのかを把握し、その子に応じた個別指導をすることが出来ます。

   ご家庭でも、ぜひ課題分析を生活の中に取り入れてみて下さい。
NPO法人STEPこども発達相談室
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